仮想化生活への軌跡

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FTP&VPNサーバーとi文庫の連携によるクラウド・ライブラリーの構築

10.13.2013, FTP, iOSアプリ, VPN, Windows Server, by .

はじめに

近年のタブレット端末の普及や自炊ブームの中で電子書籍ファイルを大量に抱えている人も多いかと思いますが、端末ひとつでさまざまな書籍を持ち運べるという利便性の反面、閲覧用端末と保存元PCとの間のやり取りには正直にいって煩わしいものがあります。

新しい電子書籍を移すたびに端末とPCとをケーブルで接続した上で(iOS端末の場合にはさらにiTunesを立ち上げた上で)ファイル操作を行うのは面倒ですし、かといって、電子書籍ファイルは容量が比較的大きいため大量のライブラリーをすべて端末に保存しておくという方法も困難です。

しかし、電子書籍閲覧アプリの多くはFTPをはじめとするさまざまな通信機能を備えており、これを利用することでケーブル接続やファイル操作の煩わしさを解消することができる上、端末のストレージ容量の節約にもつながります。

たとえばiOSアプリの「i文庫」にはFTPとの連携機能が備わっていますが、FTPサーバーを自前で構築した上でVPNを介したFTP通信を行うことにより、ローカル内ばかりでなく外部からも安全に自宅の電子書籍ライブラリにアクセスすることができるようになります。

本稿では、筆者が現在活用している、別稿で紹介したVPNサーバーとWindows Server上のFTPサーバー機能を用いたクラウド・ライブラリーの構築方法を紹介します。

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前提となる環境

● VPNサーバーを構築済みである
● FTPサーバーとしてWindows Server 2008 R2を使用する

VPNサーバーについては、ローカル環境内でのみFTPサーバーを利用する方は不要ですが、外部からの接続を行う場合、FTPサーバーを直接外部に公開することは非常に危険なため、できる限りVPNを介してアクセスすることをおすすめします(構築手順は別稿を参照)。


FTPサーバーの構築

それではWindows Server 2008 R2でFTPサーバーを構築する手順を紹介します。

留意点として、FTPサーバーへのアクセスには一般に「ユーザー名」と「パスワード」の入力が必要ですが、FTPサーバーにおいてはこれらの情報と公開対象となるフォルダ(コンテンツディレクトリ)が一対一に対応付けられるため、クライアントに公開できるサーバー上のフォルダが1つに限られてしまうという問題が生じます。

しかし、せっかく構築したFTPサーバーで公開できる情報が電子書籍ファイルに限られるというのはもったいない話です(FTPサーバーは電子書籍アプリの他にも、ファイラーやビデオ再生アプリなど、さまざまなアプリからアクセスすることができます)。

この点、Windows ServerのFTPには「仮想ホスト」という機能が備わっており、これを利用すれば、ユーザー名の直前にアクセス対象のフォルダを識別するための任意の符号(「仮想ホスト」名といいます)を添えることで、同一のユーザー名を利用しながら複数のフォルダにFTPでアクセスすることが可能になります。

前置きが長くなりましたが、以下ではこの「仮想ホスト」機能を使った手順を紹介します。

① FTPサーバーの役割のインストール
「サーバーマネージャー」から「役割の追加」を選択し、表示される役割の一覧の中から「Webサーバー(IIS)」を選択します。
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表示された「役割サービス」の一覧の中から「FTPサーバー」を選択します。
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上図ではFTPに関する3つの項目の他に「IIS管理コンソール」にチェックが入っています。
「IIS管理コンソール」はサーバーマネージャーを介さず直接FTPをはじめとするIISの管理ができるツールです。
IISの管理画面へのアクセスが容易になるため、ぜひインストールしておきましょう。

② FTPサーバーの設定
役割のインストールを完了したら(再起動を求められた場合は再起動後)、「IIS管理コンソール」を開きます。
下図のように、「サイト」を右クリックしてメニューを開き、「FTPサイトを追加」を選択します。
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「FTPサイト名」に任意の名称を選択した後、「コンテンツディレクトリ」の「物理パス」欄から公開対象となるフォルダ(i文庫からアクセスしたいフォルダ)を選択します。

次の「バインドとSSLの設定」では、下図のように「仮想ホスト名を有効にする」にチェックを入れ、「仮想ホスト」欄に任意の識別符号(電子書籍ファイルへのアクセスを識別するための任意のホスト名)を入力します。
今回はVPNを併用しますので、SSL(暗号化通信)は「無し」をチェックします。
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最後の「認証および承認の情報」では、「認証」方式として「基本」のみにチェックを入れ、「アクセスの許可」欄でFTPアクセスを許可するWindowsユーザー名を選択します。
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「終了」をクリックすれば、FTPサービスの構築は完了です。


i文庫からのアクセスとダウンロード

ここではiPad(iOS6.1.2)とi文庫HDを用いた設定例を紹介します。

① iOS端末上のVPN接続の設定
VPN接続を行うための設定は、iOSの「設定」アプリから行います。
下図の例を参考に、接続先VPNサーバーのアドレスと、ログイン情報を入力します。
別稿で紹介したPPTPサーバーの場合には上部のPPTPタブも忘れず選択しておきます。
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② i文庫上のFTPクライアント設定
i文庫の下部にある「フォルダ」ボタンをタップ >> 左上の「新規」ボタンをタップ >> 「新規フォルダ」メニューから「FTP」を選択します。
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任意のフォルダ名を設定後、当該フォルダをタップし、FTPログイン設定画面を呼び出します。
ここでFTPサーバーへのログイン情報の設定を行いますが、留意点として、下図のように「サーバー」欄にはFTPサーバーのローカルIPを、「ID」欄には”仮想ホスト名|Windowsユーザー名”の形式で入力を行ってください。
このように設定することで、ローカル内からはWi-Fi経由でそのままFTPサーバーにアクセスでき、外部からは先ほど設定したVPN接続を行うことでFTPサーバーにログインすることができるようになります。
なお、「エンコード」欄では「Japanese(Shift JIS)」を選択してください。
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③ FTPサーバーへのアクセスとダウンロード
作成したFTPフォルダをタップすると、Windows Serverで設定したコンテンツディレクトリが見えるはずです。
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任意のファイルをタップすると、書籍データが端末にダウンロードされます。
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Wi-Fi版のiPadなど、モバイル通信機能を持たない端末であっても、スマートフォンのテザリング機能を利用すれば、文字通りいつでもどこからでも自宅の電子書籍ライブラリーにアクセスすることができるようになります(まさに「パーソナル・クラウド・ライブラリー」です)。
テザリングを介して接続する場合、i文庫を操作する端末(iPad)のみVPNをオンにしてください(スマートフォンのVPNをオンにする必要はありません)。

筆者の環境(au iPhone 5s&W-Fi版iPad 3)では、上記の設定で問題なくVPNを介して自宅のFTPサーバーに接続することができています。

通信容量制限に留意する必要はありますが、モバイル端末で電子書籍をよく利用する方には非常に便利な活用法としてお勧めです。


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